MG物語 第7話 体力の衰え

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MG物語

夏場ともなると、通勤時には汗だくとなってしまうもの。
それよりもしんどいのは、やはり駅からオフィスへの徒歩だろうか。

朝の通勤ラッシュ時に、やたらと徒歩で体力を消耗していることを実感していた。
オフィスに着いたころには息も上がって、ぐったりと疲れてたと思う。

そんな状態だからこそ、オフィス内のクーラーがばっちり効いた部屋はありがたかった。
10分ほど机に伏せて、人目を憚らずに休憩が日課だ。

汗も引いてリラックスしてからの仕事開始という生活も、決して悪いものではなかったな。

やはり暑さは体力を消耗すると思い込んでいた。
昼食後の仮眠、面談後には仮眠。
気付くと、そうして体力を回復させていかなければ、終業時間まで体力が持たなくなっていたのだ。

午後にもなるとやたらと疲れが出てきて、毎日の栄養ドリンク代もバカにはならなかったような気がする。


終業時には息も絶え絶え。
帰宅の道は途方もなく険しい道となっていった。

朝は何とか歩ける距離でも、帰りはそうもいかなかった。
帰宅路にある公園のベンチでは常連となった。
コンビニを見かければ一服の休憩。

「40過ぎると体力が落ちるとは聞いてたけど、これほどなのかぁ・・・。」

夏も終わりジャケットを羽織るくらいに暑さも収まってきたころ、ボクの期待は徐々に裏切られていく。
疲れやすい体質かな?と簡単に思っていたのだが、それも夏の暑さが大きな原因だと考えていたのだ。

ところが涼しい季節になっても、まったく体の疲れに変化がない。
むしろ以前と比べても余計に疲れやすくなっていった。


やはり運動不足がたたっていると考えたボクは、なるべく体に負荷を与えて気合と根性でスタミナをつけようと決めたんだったな。
朝いつもより早く起きて軽いジョギングを日課にした。

すぐにその日課は中止にした。

朝にジョギングをすると通勤時には疲れすぎていて、タクシーを利用する羽目になったからだ。

情けない。
あまりの体力のなさに自信をなくすボクだったが、それでもごまかしごまかし仕事をこなすことだけはできた。


同僚にジムでのトレーニングを勧められるも、とてもそんな気分にはなれなかったな。
ジョギングですらバテバテなのに、年会費を払ってまで運動ができるような気はしない。

雪もちらつく冬場、この時期は本当に危ないことが多かったことを覚えている。
通勤時に路上が滑りやすいと、簡単に転がってしまうのだ。

要は踏ん張りが効かないということ。
転倒する前には自然と体が踏ん張ってくれたはずなのに、その踏ん張りがうまくできなくなっていた。

知り合いの医師や、近くのクリニックにも数軒は相談に行っただろうか。
しかしこの時にはどの医師も、適度な運動を心掛けるような指導に留まっていたな。

そして加齢による体力の衰えを感じ始めて、2回目の梅雨時。

明らかに身体に異変が起こり始めたのだった。

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