MG物語 第8話 肩こり

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MG物語

2度目の梅雨時を過ぎたあたり、去年の経験から行くと夏場は更に厳しいのだろうか。
そんな予想をしていたボクだったが、疲れやすさなどどうでも良く感じられる症状に悩まされることになる。

肩こりだ。

今までにも肩こりの経験なんてのはそれなりにあった。
それなりに生きて、パソコン作業もしていれば肩こりなど当たり前の話だと思う。

しかしその肩こりは尋常ではなかった。
あまりの痛さ、苦しさから息が詰まるほどといえばいいだろうか。

更に肩こりと首こりがセットになり、もう耐えられるレベルを超えていた。
そして肩こりから来たのか酷い頭痛もセットになってしまい、正気を保つのがやっとだ。

整形外科にも行った。
マッサージ店にも行った。
鍼が効くと聞けば鍼灸院にも行った。

しかし病院で処方された薬も、どんな施術もボクの強烈な肩こりを攻略することはなかった。
ストレッチ運動を勧められて、やってはみてもすぐに疲れてしまう。

酷い痛みを抱えながらも仕事をしていた数か月。
まさに地獄の日々だったと思う。

今になって思えば、ぬるま湯。
単なる序の口に過ぎなかったわけだが、それなりにつらかったようにも思う。
あまりよくわからないくらい、つらい時期だった。

どうだろうか。
記憶も曖昧だけど、確か痛みに耐えながら仕事をしているころだったか。

パソコン操作をしているときに、左手の小指と薬指が全く反応しなくなったのだ。

それまで普通にタイピングはできていた。
それが徐々に指が重くなっていき、そして全く反応しなくなった。

動かそうとしても重くて重くて、とても持ち上げられない。
確か、昼食後にパソコン操作をしていたときだっただろうか。

ただ事ではないと思ったボクは、その日はすぐに早退をして病院へ行ったのだ。
身体の一部が動かない、つまり麻痺ってやつだ。

医学の知識なんてものは乏しいボクだけれども、まずは脳の病気を考えた。
脳神経外科で脳の写真を撮ったものの異常なし。

しかもあれだけ重かった指も、診察のときには何故か普通に動いている。
精神的なものである可能性を指摘されたが、どうにも怖い気持ちがぬぐえなかった。


異常が見当たらなければどうにもならない。
徐々に身体が蝕まれていく恐怖は、ボクの心に暗い闇を落としていったのだ。

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