MG物語 第2話 記憶をたどる

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ふーむ。
口にマスクを当てられて、どうにも息苦しい。

まだ病院には着かないのかな。
少しでも時間があるなら、何が起こったのかを思い出していこう。

目を閉じてリラックスして・・・と。

「今日から我々とともに働くことになった新人さんたちを紹介するぞ。じゃあ左から順に挨拶を。」

・・・

・・・

『皆さん初めまして、具志堅(ぐしけん)守(まもる)と申します。臨床心理士として精神医療に従事してきました。
このたびはご縁があっての入社で、主にお客様のカウンセリング担当の業務をさせていただくことになりました。
一人でも多くの方のつらい思いを拭えるように努力していきたいと思います。
よろしくお願いします。』

パチパチパチ・・・

「えぇ、うちの会社はご存じの通り、クライアント企業様の社員さまの精神的なケアを行っています。
会社勤めのつらさとはいっても、全てが同業種のクライアント様ばかりではありません。
社員さまのつらさは業務によって形も大きく異なることを忘れずにいましょう。」

・・・

「それでは具志堅さんの席はオフィスの方になります。」
「おーい、若狭くん。具志堅さんの案内よろしく頼むよー。」

ふむ、これは転職した時の入社式かぁ。
民間企業に興味があってメンタルケア会社を探しているときにお声が掛かったんだったなぁ。
しかし随分と前だよなぁ、これ。

かれこれ5年以上は前なのに、まさかここから思い出せってのか、まぁそれもまたいいかな。

まだまだ恐れ知らずとはいえ、さすがに入社式では緊張してガチガチになっていたのを思い出す。
奥さんに背中を押されて入社したのも、結果的には良かったんだよね。


さて、ここから民間カウンセラーとしての道がスタートしたんだったね。

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