MG物語 第1話 はじまりのとき

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MG物語

しがないサラリーマンとしての生活。
何の変哲もない日常を、ただルーチンのごとく繰り返すだけの日々。

さて、ベッドから起き上がってはみたものの、何やらいつもと様子が違うようだ。
ところでこの人は・・・うーむ、誰だろうか。

『お名前をお聞きしてもよろしいですか?』

はて?何を言っているのだろうか。
この人は・・・誰?

『大丈夫ですか?お名前を言えますか?』

・・・?

「具志堅(ぐしけん)・・・守(まもる)・・・です・・・」

あれ?何やらおかしい。
どうにも声がうまく出せないようだ。
これは寝起きだからだろうか。

良くわからない。
ここはいったいどこだろう。

早く仕事の準備をしないと遅刻をしてしまう。

メガネがない状態では明るさくらいしか把握できないけれど、
まぁ何となくボヤけた雰囲気から察するに、ここは自分の部屋ではなさそうだ。

鼻を刺す消毒薬の匂い。
ガタガタと揺れている・・・車内だろうか。
ピーピーピー、ピコーンピコーンと鳴り響く電子音。

ふむ・・・何となくのイメージでは、ここは救急車じゃないかな。

という事は、ボクは何か。
救急車で運ばれている最中で、病院に向かっているってことかな。

うーむ、何が起こったんだろう。
頭がクラクラ、ボーっとしている。


こういうときはとにかく冷静に。
焦らずにじっくりと考えを整理した方が良いのは経験上知っている。

まずは搬送されているらしいので、今日の仕事に関しては無視していいだろう。
後でいくらでも言い訳はできそうだ。


ボクの身体にいったい何が起こって、そしてなぜ運ばれているのか。
時間を掛けて思い出していくのが良いかもしれないな。


・・・さて、と。

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